卵巣がんからの生還

2019.がん発覚から生還までの記録

⑮いよいよ手術

8月23日8:45 手術室へ出発。

家族とは手術室前ではなく、手術室へ向かうエレベーター前でお別れ。
手術室までは徒歩で移動です。

手術室がいならぶ9階。
テレビドラマに出てくる手術室よりもっと大きな明るい手術室が10室くらいあり圧倒される。
4と表示された手術室前で
「麻酔担当の○○です。」
「手術室付看護士の○○です。」
挨拶されたけれど、誰の名前も覚えていません。
ただ、アパートとか駐車場でも4の数字は使わないのに、手術室は4もあるんだなぁと思っていました。

手術台には自力で登って横たわる。
幅が狭いから落ちないように気をつけて。


硬膜外麻酔をするので横になって背中を丸める。
深呼吸を何度も何度もして、落ち着け〜落ち着け〜と自分に言い聞かせる。

硬膜外麻酔!
あんな痛みは生まれて初めて…。
刃物で切ってズキズキ痛いとか、火傷して痛いとか、お産の時みたいとか、どんな痛みとも違う鈍くて堪え難い感覚…。

「大丈夫ですか? 異常があったらすぐに言ってくださいね。」
麻酔医が言うので遠慮なく
「痛いですー!」と声を出す。
大きな声を出したつもりが、たいした声も出ない。
「ズンズンする感じですか?」と聞かれ
「はい。」と返事。
ズンズンが背骨を伝わってどんどん下に移動している。
ある瞬間、腰の中心に震えがきて止まらなくなった! 自分では止めたくても止められない震えだ。
でも麻酔医は気づいていない様子だったので、慌てて
「腰の震えが止まりません!」となけなしの声で訴える。
「すみません。やり直しますね。」

2回目 またズンズンが始まって、今度はうまくいくかなと思った矢先に
「もう一度やり直します。」

3回目 ズンズン、ズンズン。ビリッ!
左腰に電気が走ったような衝撃が。
訴えると硬膜外麻酔は中止になり、点滴のみの麻酔に。

ボヘミアンラプソディー歌うぞー、と思っている内に意識は飛び


名前を呼ばれて目を覚ますといつのまにか手術は終わっていました。

ストーマになりましたか?」
いの一番に聞いた。
「なりませんでした。」

「手術時間は何時間でしたか?」
「5時間です。これから回復室で1時間ほど休んでから病室に行きます。」

あー、神さま、ありがとうございます!
無事手術が終わり、目を覚ますことができました!


私が安堵して回復室で休んでいる頃、家族は待合室で今か今かと待っていました。
先生からの報告が、手術室に向かってから8時間経過していたので、家族は皆私がストーマになったと思い口数少なく暗い気持ちでいたようです。

先生から
「ガンは全て取りきれました。ストーマにはならなかったです。」
と言われ、娘は号泣していたと後から夫に聞きました。

病室に戻ると途端に吐き気がしたけれどなにも出ないのでえづくだけ。えづくと手術の傷が痛いー。

えづきがおさまった段階で家族が呼ばれ、
酸素マスクと複数の管を付けたまま再会。
どんな顔で対面しようか考えたけれど、結局
ありきたりのピースポーズ✌️
「I'll be back.」と言って
「それ未来形じゃん。」と突っ込まれる。
皆んなの笑顔。


次回へ続く。